2025年7月の参議院選挙では、与党である自民・公明が過半数を割り、野党や新しい勢力が大きく議席を伸ばす結果となりました。

背景には、物価上昇や経済政策への不満があり、既存政党への信頼が揺らいでいる様子もうかがえます。

とくに注目されたのが、「消費税の引き下げ」に関する議論です。生活の負担が重くなるなかで、家計を少しでも楽にしたいという声が高まるのも、自然なことです。

ただ、少し立ち止まって考えてみたいのが、「それは本当に、持続的な解決策になるのか?」ということです。

今回は、FP(ファイナンシャル・プランナー)としての視点から、家計にたとえながら国の財政について考えてみたいと思います。

国の財政も「家計」と似ているところがある

お金の使い方について考えるとき、国も家庭も基本的な考え方は共通しています。

たとえば、家庭であれば生活を安定させるために以下のような工夫をするのがよいでしょう。

  • 収入を増やす(昇給・副業など)
  • 支出を見直す(固定費削減、ムダ遣いの削減)
  • 家族全体のバランスを考えて分配する(教育費や生活費の優先)

このような視点は、国の財政にもそのまま当てはめることができます。


収入を増やす:経済を元気にする方向へ

家計でいうと「昇進」や「副収入」のようなもので、国の収入=税収を増やすには、経済全体の活性化が必要です。

企業が元気に成長すれば、従業員の給与も上がり、所得税が増えます。企業の利益が伸びれば法人税も増えます。

こうした経済の好循環こそが、本当の意味での「財源」につながります

単に税率を上げ下げするのではなく、働く人たちの給料が増えることや、企業が世界と競える力を持つことが、持続的な税収アップに結びつくのです。


支出を抑える:無駄のない使い方を目指す

支出を見直すことも、家計管理の基本です。これは国においても同じ。

たとえば、以下のような取り組みが考えられます。

  • 効果の薄い公共事業の見直し
  • 行政運営のスリム化
  • 社会保障制度の持続性を重視した改革

必要な支出は守りながら、ムダを減らす視点は常に欠かせません。

家計の「固定費を見直して暮らしを整える」こととよく似ています。


再分配の限界:お小遣いを削っても家庭は豊かにならない

たとえば、家庭で「お父さんのお小遣いを減らして、子どもの教育費に回す」とします。

目的としては正しくても、家庭全体の満足度や活力が下がってしまう可能性もあります。

国の財政も同じです。

消費税を下げて一時的に家計が楽になったとしても、減った税収を補うためには、どこか別の財源を探さなくてはならなくなります。

結果的に、医療や年金など他の分野にしわ寄せが来たり、新たな増税の議論が始まったりする可能性もあります。

「税の取り方」だけを変えても、全体のパイ(=国の経済力)が大きくならなければ、長期的な豊かさにはつながりません。

ちょっと先の未来を想像してみることも大切

物価が上がるいま、不安を感じるのは自然なこと。行政の支援も大切ですよね。

でも同時に、「減税か給付金か」だけでなく、どうすれば社会が元気になり、将来の暮らしにもよい影響を与えるかという視点も持っていたいなと思います。

今回の参院選では、新しくできた政党「チームみらい」が、初めての挑戦で1議席を獲得しました。

行政のデジタル化や、子育て・教育・技術への投資を重視するその方針は、ムダを減らして変化に強い仕組みをつくることに通じます。

そして、人や技術への投資は、未来の日本を支える力にもなるはずです。

選挙や経済の話はむずかしく見えますが、少ししくみを知るだけで、ニュースの捉え方や選ぶ視点が変わってきます。

目の前のことだけでなく、少し先の未来にも目を向けて政策を見てみることも、わたしたちにできる大切な一歩ではないでしょうか?

投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後資金づくりを支援するFP
1974年兵庫県生まれ。大阪府在住。
20年余りの会社員生活を経て、46歳で独立。

かつてはお金の知識ゼロから独学で投資を実践し、具体的な資産計画を描くことで、組織に縛られない自由な働き方を手に入れました。

現在は、保険・金融商品の販売を一切行わない、完全中立のFPとして活動しています。特定の商品をすすめる立場に立たないからこそ、ご家庭の状況と目標だけを起点に、老後資金づくりの計画策定から実行まで一貫してサポートできると考えています。

老後のお金に不安を感じている方が、「自分らしく、安心して暮らせる未来」を描けるよう、資産バランスの整え方や具体的な行動の道筋を、わかりやすくお伝えすることを活動の軸としています。

学びのプラットフォーム「ストアカ」では、資産運用講座の受講者が延べ700名を超え、最高ランクの「プラチナバッジ」を取得。書籍の執筆やブログを通じた情報発信にも取り組んでいます。

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