「NISAを始めたいけれど、保障もついてお金も増える保険があると聞いて……どう思いますか?」

最近、こんなご相談が増えています。

変額保険や外貨建て保険など、貯蓄型の保険は「万が一に備えながらお金も増やせる」という点が魅力的に映りますよね。

一石二鳥に見えて、とても合理的な選択のように感じられます。

この記事では、「貯蓄型保険」と「NISA」のお金の増え方の違いをわかりやすくお伝えします。

仕組みを正しく理解して、自分自身が納得してお金の選択ができるようになりましょう。

なぜ「貯蓄型保険」はこんなに魅力的に見えるのか?

貯蓄型保険(変額保険・外貨建て保険など)には、たしかに魅力的にみえる特徴があります。

「保障を得ながら、教育費や老後資金などさまざまな資金に備えられる」

「毎月の保険料として強制的に積み立てられるので、貯蓄が続けやすい」

「手続きさえすれば、あとは自動で運用される」

――こうした点は、投資に自信のない方にとって、大きな安心感につながります。

ただ、少し立ち止まって考えてみてください。

これらのメリットは言い換えると、「自分で投資商品を選んで管理することが不安な人のための、代行サービス」です。

そして、代行には当然コストがかかります。

そのコストが「手数料」という形で、私たちの運用リターンから差し引かれていきます。

お金が増える仕組みは、シンプルな「算数」で決まる

投資の世界には、シンプルな大原則があります。

あなたの手元に残るリターン = 投資先のリターン - 手数料

たとえば、変額保険もNISAのインデックスファンドも、突き詰めれば「株式市場の成長」に乗っていく仕組みは同じです。 

しかし、間に入る人や会社(保険会社・販売員・金融機関)が多ければ多いほど、手数料として差し引かれる金額が増え、あなたの取り分が減っていきます。

だからこそ、近年はネット証券で直接インデックスファンドを購入する方法が広まっています。

間に入る人を最小限にすることで、株式市場の成長をできるだけダイレクトに受け取ることができるからです。

金融機関や販売員の方も、手厚いサポートの対価として手数料を受け取るのはビジネスとして当然のことです。

ただ、「そのサポートが自分に本当に必要かどうか」を一度考えてみることが大切です。

「投資」と「保険」、それぞれの本質を知っておこう

2つの仕組みには、そもそも異なる「目的」があります。

インデックスファンドへの投資は、「お金を守り、育てること」が目的です。

インフレ(物価上昇)や円安によって「お金の価値が目減りするリスク」から資産を守り、長期的に増やしていくための手段です。

保険は、「もし起きたら人生が破綻するリスクへの備え」が目的です。 

死亡や重大な障がい、火災など、確率は低くても万が一起きたときに取り返しのつかないリスクに対して、みんなでお金を出し合って助け合う仕組みです。

この2つは、そもそも目的がまったく異なります。

「1本で両方まかなえる」という商品は、一見便利に見えて、どちらの目的も中途半端になりやすいという懸念があります。

結論:「投資」と「保険」は、分けて考えるのが一番賢い

この2つの本質を踏まえると、「投資と保険は分けて考える」のがもっともシンプルで合理的な答えになります。

万が一の保障が本当に必要な期間(たとえばお子さんが独立するまでの間など)は、割安な掛け捨て保険で必要最低限の枠をキープします。

なお、「掛け捨てはお金が戻ってこないからもったいない」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、貯蓄型保険は「掛け捨て部分」と「運用部分」をくっつけた商品であり、さらに余分な手数料を払っている仕組みです。

必要な保障だけを、必要な期間だけ備える掛け捨て保険は、むしろ効率的なお金の使い方です。

一方、将来のための資産形成は、手数料の低いNISAのインデックスファンドに集中させます。

この組み合わせが、毎月の保険料(固定費)を抑えながら、将来手元に残るお金を最大化する、もっとも近道な方法と言えるでしょう。

おわりに

保険も投資も、どちらが「正解」という話ではありません。

大切なのは、それぞれの仕組みの本質を理解した上で、自分に何が必要かを判断できるようになることです。

金融機関や営業担当の方が勧めるものには、それぞれのビジネスモデルが背景にあります。

それ自体は当然のことですが、私たち自身が仕組みを正しく知ることが大切です。

そうすれば、情報に振り回されることなく、自分と家族にとって本当に必要なお金の計画を、自分の意思で組み立てられるようになるでしょう。

投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後資金づくりを支援するFP
1974年兵庫県生まれ。大阪府在住。
20年余りの会社員生活を経て、46歳で独立。

かつてはお金の知識ゼロから独学で投資を実践し、具体的な資産計画を描くことで、組織に縛られない自由な働き方を手に入れました。

現在は、保険・金融商品の販売を一切行わない、完全中立のFPとして活動しています。特定の商品をすすめる立場に立たないからこそ、ご家庭の状況と目標だけを起点に、老後資金づくりの計画策定から実行まで一貫してサポートできると考えています。

老後のお金に不安を感じている方が、「自分らしく、安心して暮らせる未来」を描けるよう、資産バランスの整え方や具体的な行動の道筋を、わかりやすくお伝えすることを活動の軸としています。

学びのプラットフォーム「ストアカ」では、資産運用講座の受講者が延べ700名を超え、最高ランクの「プラチナバッジ」を取得。書籍の執筆やブログを通じた情報発信にも取り組んでいます。

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