「投資の比率を増やしたいけれど、暴落が怖くて踏み切れない」
「自分にとってちょうどよい資産バランスがわからない」
NISAで積み立てを続けながらも、こうした不安を抱えている方は少なくありません。
実は、投資と預金の「バランス」と「管理ルール」をあらかじめ決めておくだけで、この悩みは大きく解消できます。
「怖い」と「もったいない」、どちらも正しい?
家庭の資産バランスについて相談を受けると、正反対の声をよく耳にします。
「投資比率を半分にするなんて怖くてできない」という方がいる一方で、「預金が半分もあると、増えないから損ではないか」とおっしゃる方もいます。
実は、どちらの感覚にも一理あります。しかし同時に、インデックスファンドの特性を正しく理解すれば、預金も投資も、どちらも欠かせないということがわかります。
「投資は怖い」と感じる方は、短期的な値動きのリスクを過大に捉えているかもしれません。
全世界株式のようなインデックスファンドは、短期的には大きく下がることがあっても、長期的には世界経済の成長とともに上昇していく仕組みです。
また、法律上の分別管理によって資産は守られており、金融機関が経営破綻しても、すぐに失われる心配はありません。
一方、「預金はもったいない」と感じる方は、リスクを過小評価しているかもしれません。
リーマンショックのような暴落時には、資産価値が1年で半分程度まで落ち込んだこともあります。
そのときに手元の預金が少ないと、精神的に追い詰められ、冷静な判断ができなくなるおそれがあります。
「50:50」を出発点にする
こうした「安全性」と「効率性」を両立できる出発点として、老後資産を「銀行預金」と「インデックスファンド」に半分ずつ(50:50)持つことをおすすめしています。
たとえば2000万円の資産であれば、預金1000万円・ファンド1000万円に分けます。
「10年分の生活費が預金で守られている」という安心感は、値下がり時の大きな心の支えになります。
同時に、残りの半分を運用に回すことで、資産を効率よく長持ちさせることができます。
もちろん、この比率は固定ではありません。長年の運用経験で値動きに慣れている方は、ファンド比率を6割以上に高める選択肢もあります。
逆に、75歳・80歳と高齢になるにつれて安全性を重視したい場合は、ファンド比率を4割以下へ下げてもよいでしょう。
「半分ずつ」を土台にしながら、ご自身の状況に合わせて調整していくイメージです。
年に一度の「棚卸し」で現在地を確認する
この資産バランスを維持するために必要なのが、年に一度の「棚卸し」です。
年末など決まった時期に、預金とファンドの残高を確認するだけです。
年末大掃除のタイミングで「お金の整理整頓」として習慣にするのもよいでしょう。
経済ニュースを毎日追いかけたり、複雑な分析をしたりする必要はまったくありません。
「リバランス売却」で、ルール通りに整える
棚卸しの結果をもとに行うのが「リバランス売却」です。
ルールはシンプルで、あらかじめ決めたファンドの比率を超えた年だけ、決めた比率に戻す分だけファンドを売却して預金へ移すというものです。
具体的な数字で見てみましょう。
預金・ファンドを50:50で管理しているケースで、棚卸しの結果が「ファンド1300万円、預金900万円」だったとします。
合計2200万円の半分は1100万円ずつです。
この場合、ファンド側の200万円分を売却して預金へ移すことで、再び50:50のバランスに戻ります。
逆に「ファンド800万円、預金1000万円」だった場合は、ファンドが目標比率を下回っているため、売却は行いません。
預金から生活費を使いながら、ファンドの回復を待ちます。
「いつ売るか」を悩まなくてよくなる
このリバランス売却には、3つの大きな利点があります。
1つ目は、管理がシンプルなことです。
年に一度、残高を確認してルール通りに動くだけで完結します。「いつ売ればよいか」というタイミングの悩みから解放されます。
2つ目は、自分が決めた資産バランスを保てることです。
預金とファンドの比率を一定に保つため、どちらか一方が先に底をつく事態を防ぎやすくなります。
「効率」と「安全」を両立した状態を、長期にわたって維持できます。
3つ目は、暴落時に売らないことがルールに組み込まれることです。
ファンドが目標比率を下回っているときは売却しないため、値下がりしたときに無理に売って損失を確定させる必要がありません。
これが資産寿命を延ばすうえで、非常に重要な働きをします。
老後資金の「出口戦略」として、このリバランス売却の具体的な手順やシミュレーションを一冊にまとめました。
NISAで積み立てを続けている50代の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

投稿者プロフィール

- 老後資金づくりを支援するFP
-
1974年兵庫県生まれ。大阪府在住。
20年余りの会社員生活を経て、46歳で独立。
かつてはお金の知識ゼロから独学で投資を実践し、具体的な資産計画を描くことで、組織に縛られない自由な働き方を手に入れました。
現在は、保険・金融商品の販売を一切行わない、完全中立のFPとして活動しています。特定の商品をすすめる立場に立たないからこそ、ご家庭の状況と目標だけを起点に、老後資金づくりの計画策定から実行まで一貫してサポートできると考えています。
老後のお金に不安を感じている方が、「自分らしく、安心して暮らせる未来」を描けるよう、資産バランスの整え方や具体的な行動の道筋を、わかりやすくお伝えすることを活動の軸としています。
学びのプラットフォーム「ストアカ」では、資産運用講座の受講者が延べ700名を超え、最高ランクの「プラチナバッジ」を取得。書籍の執筆やブログを通じた情報発信にも取り組んでいます。
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