「円安の影響で、物価が上がって生活が苦しくなった、、、」
最近、このような話を聞くことが多くなりました。
昨今の円安進行により、輸入品の価格上昇などの影響で物価が上がるということは、実際に起こっています。
一方で、円安には「外貨資産の価値が増加する」というメリットもあります。
NISAを利用して外国株式などの外貨資産に投資する際も、円安や円高による影響を大きく受けるため、為替リスクについての正しい知識を持っておくことは重要です。
今回は、為替リスクという言葉の本当の意味について解説します。
資産運用におけるリスクとは?
資産運用において、リスクとは「危険」という意味ではなく、「値動きすること」をあらわします。
価格が上がったり、下がったりと、変化することを「リスク 」と呼んでいるのです。
リスクが「危険」であるなら、近づかない(投資をしない)ほうが良いですよね。
一方で、「値動きすること」であれば、その理由を知っておくことで許容できる(投資できる)ようになります。
リスクの本当の意味を知って、冷静に対処できるようになることが大切です。
為替リスクの本当の意味を知る
為替リスクとは、円安や円高への動きによって、自分が保有している資産の価格が変動することを意味します。
銀行預金など、日本円の資産しか持っていなければ、為替リスクの影響を直接的には受けません。
一方で、外国株式などの外貨資産に日本から投資したときは、円安になれば値上がりし、円高になれば値下がりします。
円安進行のメリット、デメリット
もし、いまより円安になって価格が上がると、すでに外貨資産を持っている人は資産価値が増加します。
物価の上昇速度よりも、円安による資産価値の増加速度が大きければ、生活はむしろ楽になるはずなのです。
一例として、2023年度の物価上昇と円安進行の程度を比較してみます。
総務省が発表した2023年度の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、前の年度より2.8%上昇しました。
このうち、物価高を感じやすい「生鮮食品を除く食料」をみると、前の年度より7.5%も上昇しています。
一方で、同じ期間における米ドル/円の為替レートは、1ドル132.1円から151.6円へと、約14.7%の円安(ドル高)になっています。
2023年度の1年間でみると、物価の上昇率よりも、円安による外国資産の増加率のほうがはるかに高いことがわかります。
このように、円安進行はすでに外貨資産を持っている人にとっては大きなメリットになりますが、これから投資をしたい人にとっては、高い価格で購入しなければならないというデメリットになります。
これを理解せずに、外貨資産に一括で投資する人もいますが、こんなに円安進行しているタイミングでの一括投資は私なら絶対に推奨しません。
円高進行のメリット・デメリット
もし、いまより円高になって価格が下がると、すでに外貨資産を持っている人は資産価値が目減りします。
「資産価値が目減りする」のは円高進行によるデメリットですが、必ずしも「損をする」わけではないので注意しましょう。
資産価値が目減りした状態で(投資元本よりマイナスになった状態で)、外貨資産を売却してしまうと、損失が確定します(損をします)。
しかし、ふたたび値上がりして資産価値が増加するまで(投資元本よりプラスになるまで)待つことができれば、損はしません。
また、円高進行で価格が下がれば、これから投資をしたい人にとっては、安く購入できるというメリットが生まれます。
今後は円安になる?それとも円高?
「日本の国力が下がっており、今後はもっと円安になる」という人もいれば、
「いまは行き過ぎた円安であり、そろそろ円高に逆戻りする」という人もいます。
私の意見としては、上記のどちらも起こるのではないかと思っています。
つまり、短期的には円高への逆戻りがあるけれど、長期的には円安方向にいく可能性が高いのではないかと。
ただし、短期的と行っても今日明日の話ではなく、数ヶ月先かもしれないし、数年先かもしれません、、、
結局のところ、為替が円安、円高のどちらに向かうかは、専門家であっても予測不可能と思っておいたほうがよいです。
だからこそ、どちらに転んでも大丈夫なように、いまから準備をしておくことが大切です。
円安・円高それぞれのメリットをなるべく活かしつつ、デメリットを回避できるように、家計資産の配分を最適化したり、効率的な積立計画を立てることをオススメします。
円安と円高の違いについてよくわからないという方は、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
投稿者プロフィール
- 「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。
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