2024年8月5日、日経平均株価はかつてない急落となり、世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデー翌日を超えて過去最大の下落幅を記録しました。

この状況は各メディアでも大きく取り上げられたので、ご存じの方も多いと思います。

その後の日経平均株価は反動で値上がりし、8月9日時点で2024年初より高値の水準まで回復しています。

今回の株価変動は長期投資家にとってはとくに心配するような状況ではありませんが、NISAで積立投資を始めたばかりの人は、不安になっておられるかもしれません。

今回は、「暴落が怖い」という気持ちへの備えとして、できることをいくつか紹介します。

対処法① 暴落は「バーゲンセール」という事実を知る! 

積立投資を始めて数年以内に暴落がきたら、将来のお金が増えやすくなるチャンスです!

なぜなら、値段が下がれば下がるほど「安く買える」から。

安いときに買って、高いときに売れば、投資で得られる利益は大きくなります。

積立投資の場合、長い期間をかけて買い続けるために、積立期間中の値動きの状況によって最終的な利益の大きさは異なるのです。

これは感覚的には理解しにくいことなので、イメージ図で説明します。

下の図で、(A)は積立投資を始めてからどんどん価格が上昇し、投資期間の終盤になって値下がりしたパターンです。

一方、(B)は積立投資の初期に価格が下落し続け、後半に向けて値上がりしていくパターンです。

この2つのパターンは、投資の開始時点と終了時点での商品価格は同じですが、得られる利益の大きさには差が生まれます。

積立投資を始めてから値下がった(B)のほうが、(A)と比べてずっと安い価格で購入し続けることになるため、最終的な利益はかなり大きくなるのです。

投資を始めたら、どんどん価格が上昇してプラスの数字を見たほうが嬉しい気持ちになりますよね?

しかし現実には、積立投資の場合は初期のころに価格が下落することを喜ぶべきなのです。

「暴落」=「格安セール」と理解できるようになると、積立投資を安心して継続しやすくなります。

もし暴落がきたら、「バーゲンセールきた!」という合言葉を唱えてみることをお勧めします!

対処法② 情報を遮断しよう! 

とはいえ、暴落を「チャンス」とはなかなか思えないかもしれません。

そんなときは、「何も見ないこと」をお勧めします。

証券口座のウェブサイトを開いて運用状況をチェックする必要もないし、SNSなどで流れてくる情報もなるべくみないようにして、日常生活に集中してください。

いくら情報を追いかけても、値動きは自分にはコントロールできませんので。

なお、「どれくらいの頻度でチェックしたらよいですか?」というご質問をよくいただきます。

もし、あなたが1銘柄のみ(たとえば全世界株式型の投資信託1本)で積み立てしているなら、「運用状況のチェック」はまったく不要です。

運用状況を気にするのではなく、資産全体のバランスをチェックしましょう。

具体的には、1回/年でよいので資産全体の配分比率(銀行預金が◯◯万円、投資信託評価額が◯◯万円)を確認して、積立額がそのままでよいのか、上げたり下げたりしたほうがよいのかを検討することをお勧めします。

一方で、複数銘柄を保有している場合は、上記の資産バランス確認に加えてやることがあります。

1回~2回/年程度、運用状況をチェックして「リバランス」をすることで、将来的な運用成績を向上させることが期待できます。

対処法③ 資産配分を最適化する!

値下がりが気になる人は、「自分にあった資産バランス」になっていない可能性もあります。

全世界株式や米国株式などの「株式偏重」で運用していると、値動きはかなり大きくなります。

株式だけでなく、債券や金(ゴールド)などいろいろな資産に分散して投資をすることで、全体のリスク(=値動き)を下げることを検討してみましょう。

一例として、過去半年間の全世界株式、先進国債券、金(ゴールド)の値動きを下図に示します。

なお、先進国債券と金(ゴールド)は、円高や円安の影響を受けにくい「為替ヘッジ有」の値動きです。

参照元:Yahooファイナンス

最近の1ヶ月で全世界株式は大きく値下がりしていますが、為替ヘッジ有の先進国債券や金(ゴールド)はあまり変動していないことがわかります。

これらの資産はいずれもNISAのなかで投資可能ですので、リスクを下げた運用をしたい人は検討してみるとよいでしょう。

暴落時にやってはダメなこと

投資信託の価格が大きく下落したとき、やってはいけないのは以下のことです。

・積立額を減らす

・積立を止める

・売却(解約)する

値下がりはせっかく安く買えるチャンスですので、「減らす」「止める」「売る」はNGだということを知っておきましょう。

なお、損失が大きくなる前に売却する「損切り」という言葉がありますが、これは短期投資(トレードなど)をしている人にのみ関係があります。

インデックス型の投資信託は、「ずっと保有し続けて将来資産を増やす」ための投資商品ですので「損切り」はしてはいけません。

積立投資の本質を知れば知るほど、暴落は怖くない(むしろチャンス)ということがわかってきませんか?

自分とって心地よい投資を継続していくために、必要な対処法を身につけていただければと思います。

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投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。

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