前回の記事でもお伝えしましたが、2025年の1年間でゴールド(金)指数は63.6%も上昇しました。
ここ数年は株式を上回る上昇率となっており、「やっぱりゴールドにも投資したほうがいいのかな?」と感じる方も多いかもしれません。
一方で、「ここまで上がってしまったなら、もう遅いのでは?」と不安になるのも自然な気持ちです。
投資情報を見ていると、「ゴールドにも投資すべき」という意見と、「株式だけで十分」という正反対の意見が並んでいて、余計に迷ってしまいますよね。
そこで今回は、ゴールド投資をどう判断すればよいのかについて、考え方の整理をしてみたいと思います。
「ゴールドは必要」「ゴールドはいらない」どちらも正しい理由
結論からお伝えすると、「ゴールドに投資すべき」「ゴールドはいらない」という正反対の意見は、どちらも間違いではありません。
なぜなら、投資は「何を目的にするか」で選ぶものが変わるからです。
ゴールド投資の要否について、それぞれの立場から理由を見ていきましょう。
資産を増やす目的なら、ゴールドはいらないという考え方
過去の長い歴史を振り返ると、長期的なリターンでは、金価格の上昇よりも株式市場の成長のほうが上回ってきました。
そのため、「できるだけ資産を増やしたい」という目的で考えると、ゴールドを組み入れることで、全体の成長効率が下がってしまう可能性があります。
将来のリターンを優先するのであれば、
株式のみ(ここでいう株式は、個別株ではなく、世界中に分散投資されたインデックスファンドのことです)にする、という選択はとても合理的です。
また、保有する資産の種類が増えるほど、管理の手間も増えていきます。
銀行預金と株式インデックスファンドだけ、というシンプルな形は、わかりやすく続けやすいというメリットもあります。
安心して続けたい人には、ゴールドという選択肢もある
一方で、「ゴールドにも投資する」という考え方にも、しっかりした理由があります。
株式は、長期的には大きなリターンが期待できる反面、短期的な値動きはとても大きくなります。
十分に分散されたインデックスファンドであっても、リーマン・ショック級の暴落が起これば、短期間で資産価値が半分近くまで下がったり、回復に何年もかかることがあります。
そうした大きな値動きに、心の面でも家計の面でも耐えられるか。
ここを考えたときに、株式とは異なる動きをする資産を持つことが意味を持ってきます。
下のグラフは、全世界株式指数とゴールド指数が、1年ごとにどの程度値動きしてきたのかを比較したものです。

このグラフを見ると、全世界株式とゴールドでは、同じ年であっても値上がり幅や値下がり幅が大きく異なることがわかります。
株式が下落した年でも、ゴールドは下げ幅が比較的小さかったり、逆に値上がりしている年もあります。
この「動き方の違い」が、ゴールドを組み入れる意味の一つです。
株価が下がって不安なときに、「全部が同じように下がっているわけではない」と感じられることは、想像以上に大きな安心材料になります。
また、もし株価が下がっているタイミングで急な出費や収入減があった場合、値下がりしている株式ではなく、ゴールドを売却する、という選択肢が持てるかもしれません。
不確実な時代に「お金の置き場所を分ける」という考え方
最近は、国際的な政治情勢や地域紛争、環境問題など、先行きを見通しにくい出来事が続いています。
これまでのように、「株式が有利」「米国が強い」という状況が今後も同じように続くと、楽観しにくい面もあります。
そのような中で、お金の置き場所を一か所に集中させないことは、不確実な未来への備えとも考えられます。
実際、金価格が上昇している背景の一つとして、各国の中央銀行が金を購入している、という動きもあるようです。
ゴールドへの投資は、「もっと増やしたい」というよりも、
「安定的に増やしたい」「何が起きるかわからない将来に備えたい」という、どちらかというと「守り」の目的に合った資産だと言えるでしょう。
私自身は、お金のことに関して少し心配性なところがあり、株式だけでなく、ゴールドを含めたいくつかの資産に分けて持つスタイルを好んでいます。
正解は一つではありません。
「資産の成長や、管理のしやすさを重視する考え方」もあれば、
「安心感やバランスを大切にする考え方」もあります。
どちらが正しい・間違っているということではなく、
ご自身が何を大切にして投資と向き合いたいかによって、
ゴールドが必要かどうかは変わってくるのだと思います。
ゴールド投資を考えるときの注意点
最後に、ゴールド投資を考える際に、知っておいてほしい注意点をまとめておきます。
まず、ゴールドは安全資産ではありません。
よく「金は安全」と言われますが、実際には値動きは決して小さくありません。先程グラフにも示したように、上がることもあれば、下がることもあります。
「安全だから買う」のではなく、「株式と違う値動きをする資産を持ちたいから買う」という考え方が大切です。
次に、儲けたいと思って買わないことです。
値上がりしているから注目されているだけで、今後も必ず上がり続けるわけではありません。
「そんなに増えるなら私も」と思って買うと、下がったときに驚いて売ってしまい、結果的に損をすることになりかねません。
そして、タイミングを図らないこと。
「もう少し下がったら買おう」と考えても、値動きを正確に予測することはほぼ不可能です。
もしゴールドが必要だと判断したら、
・ゴールドの割合を決める(目安として総資産の5〜10%程度とされることが多いです)
・その割合に近づくよう、毎月いくら積み立てるかを考える
・信託報酬(運用管理費)の低い、ゴールド指数に連動したインデックスファンドを選び、少しずつ積み立てる
このように、途中の値動きは気にせず、資産配分だけを決めて淡々と続けること。これが、ゴールドに限らず、安心して資産運用を続けるための基本です。
「自分にはどんな形が合っているのか」。
そんな視点で、ゴールドとの付き合い方を考えてみていただければと思います。
投稿者プロフィール

- 老後資金づくりを支援するFP
-
1974年兵庫県生まれ。大阪府在住。
20年余りの会社員生活を経て、46歳で独立。
かつてはお金の知識ゼロから独学で投資を実践し、具体的な資産計画を描くことで、組織に縛られない自由な働き方を手に入れました。
現在は、保険・金融商品の販売を一切行わない、完全中立のFPとして活動しています。特定の商品をすすめる立場に立たないからこそ、ご家庭の状況と目標だけを起点に、老後資金づくりの計画策定から実行まで一貫してサポートできると考えています。
老後のお金に不安を感じている方が、「自分らしく、安心して暮らせる未来」を描けるよう、資産バランスの整え方や具体的な行動の道筋を、わかりやすくお伝えすることを活動の軸としています。
学びのプラットフォーム「ストアカ」では、資産運用講座の受講者が延べ700名を超え、最高ランクの「プラチナバッジ」を取得。書籍の執筆やブログを通じた情報発信にも取り組んでいます。
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