「2023年住宅居住白書」によると、全国の20~65歳の男女5,151人を対象にした調査では、賃貸派は17.4%、持ち家派は67.5%と、持ち家に住みたい人が多数を占める結果となっています。

この調査結果で私が特に注目したのは、それぞれの理由のトップです。

  • 持ち家派の理由1位:「家賃を払い続けるのが無駄に思える」(56.8%)
  • 賃貸派の理由1位:「住宅ローンに縛られたくない」(45.3%)

どちらの理由も「お金の払い方」に関することであり、家賃を無駄と感じるか、住宅ローンを負担と感じるかの違いですね。

ただ、私は持ち家か賃貸かを考えるとき、もっと大切にすべきなのは「住まいに何を求めるのか?」という価値観だと思っています。

そこで今回は、私が「持ち家ではなく賃貸を選び続けている理由」についてお話しします。

私が30年以上も賃貸住宅に住んでいる理由

大学進学を機に実家を出てから、30年以上ずっと賃貸暮らしです。

転職や転勤で何度か引っ越しをしましたが、「家を買おう」と考えたことは一度もありません。

賃貸最大の魅力は、気楽さ。

たとえば、給湯器や水回りが故障したとき。持ち家なら修理の手配や費用は自分持ちですが、賃貸なら大家さんが対応してくれる場合が多いですよね。

また、台風などの災害があっても、「借家だから」と気楽にいられます。

引っ越しのハードルが低いのもポイントです。

家族の人数が変わったり、隣人トラブルがあったりしたとき、持ち家より柔軟に環境を変えられるのは賃貸ならではの強み。

内向的な性格なので、近所付き合いが少ないほうが快適というのもあります。

「老後は賃貸が借りにくいよ」という意見もありますが、私は「老後の入居リスクよりも、現役時代に持ち家に縛られるリスク」のほうが気になるタイプ。

ここはまさに価値観の問題ですね。

持ち家 vs 賃貸を「お得かどうか」で判断するのはNG

冒頭の調査結果を見ると、持ち家派・賃貸派ともに「家計への影響」を最重視していることが分かります。

「家賃を払うのはもったいない」という意見もありますが、私は家賃を電気代やガス代と同じ“生活コスト”と捉えています。

だからこそ「妥当な家賃か?」は気にしますが、「無駄」とは思いません。

一方で、「住宅ローンに縛られたくない」という意見も、考え方次第かなと。

ローンも家賃も住居費という支出の一つですし、無理のない返済計画を立てれば、必要以上に重荷になることはありません。住宅ローン控除を活用すれば、利息負担も軽減できます。

また、「持ち家と賃貸、どちらが得か?」とシミュレーションをする人もいますが、私はこの比較にあまり意味を感じません。

なぜなら、前提条件を少し変えるだけで「お得」な方が簡単に入れ替わってしまうからです。

お金の損得だけで判断すると、本来自分に合った住まいを見失ってしまうかもしれません。

結局、大事なのは「価値観」

たとえば、ペットを飼いたい、DIYで理想の空間を作りたい、地域の人と深く関わりたい...

そういう人は持ち家のほうが合っています。

逆に、「家に執着がない」「変化に柔軟でいたい」という人には賃貸の気楽さが向いているでしょう。

私は、家に特別なこだわりがないので、持ち家より賃貸のほうが合っていると感じています。

「どちらが得か?」ではなく、「自分にとってどちらが快適か?」——それを基準に選ぶことが、後悔しない住まい選びにつながるのではないでしょうか。

投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。

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