NISAでは、個別株と投資信託のどちらにも投資することができるため、どちらを選んだほうがよいか迷っている人も多くいるようです。
もしあなたが「将来資産をちゃんと増やしたい」なら、投資信託を利用することをおすすめします。
なぜなら、個別株への投資で、投資信託の成績を「長期的に」上回るのはかなり難しいから。
今回は、個別株への投資が難しい理由と、投資信託の利点について解説します。
個別株投資が難しい理由①
株式投資の対象企業は、日本の上場企業だけでも4千社、米国など外国株も含めると数万社もあります。
そのなかから、将来確実に成長する企業を選ぶのは困難です。
また、たくさんの候補のなかから選択する際には、企業の業績や将来性、株価の割安感など、さまざまな指標の調査が必要となり、時間と労力もかかります。
個別株投資が難しい理由②
企業が成長して大きくなると、それ以上成長するのがだんだん難しくなっていきます。
長いあいだ現状を維持するだけでもタイヘンであり、やがて衰退していく企業も多いです。
したがって、長期的に資産を増やし続けるためには、適切な時期を見極めつつ、保有する銘柄の入れ替えをしていくことが必須です。
しかし、それを何十年も続けるのは、かんたんなことではありません。
下表は、全世界の株価時価総額トップ10を、2000年1月と2024年1月で比較したものです。
株価時価総額の大きさは、企業の市場価値(=収益性や将来性)を反映したものであると考えてください。
2000年1月の上位10社のうち、2024年1月にトップ10を維持していたのはマイクロソフト1社のみでした。
20年以上も経てば、世界のトップ企業は大きく入れ替わるのです。
ちなみに、24年前といえばそれほど大昔ではありませんが、日本の企業が「世界のトップ10」に2社入っているのは印象的です。
現在はトップ10をほぼアメリカの企業が独占していますが、果たして20年、30年後はどうなっているでしょうか?
予測は難しいと思います。
投資信託は企業を選ばずに株式投資できる
投資信託は、「自分で企業を選択せずに投資できる」便利な金融商品です。
投資信託のうち「インデックスファンド」と呼ばれる種類のものは、対象としている市場(=インデックス)のなかで、そのときに市場価値が高いものに投資をするしくみになっています。
たとえば「全世界株式」を対象としたインデックスファンドであれば、いまはアップルやアマゾンといった企業への投資割合が大きいけれども、10年、20年後になれば、その時代に市場価値が高い企業に入れ替わっているということ。
運用会社が企業の入れ替えをしてくれるから、それを保有している人は、何もせずにずっと放置できるのですね。
ちなみに、投資信託のなかには「アクティブファンド」と呼ばれる種類もあります。
アクティブファンドでは、投資する対象企業を運用会社が積極的に選んでいます。
「投資信託はプロが運用してくれる」というフレーズがよく使われますが、これはアクティブファンドのことを指しています。
(インデックスファンドはプロが運用しているのではなく、市場全体の平均値に投資しているに過ぎません)
実は、運用期間が長くなるほど、アクティブファンドよりもインデックスファンドのほうが成績がよいという過去のデータがあります。
これは、「投資のプロ」であっても、市場の平均値(=インデックス)にずっと勝ち続けるのは、とても難しいという事実を示しています。
配当金についての考えかた
株式を保有している株主に対して、配当金を支払う企業も多くあります。
したがって、配当金を得るために個別株投資をする人もいます。
一方、インデックスファンドの場合は、運用会社が配当金を「再投資」してくれます。
再投資された配当金は、投資信託の値段に反映されるため、長期間保有するほど値上がりしやすいということ。
このしくみも、投資信託が将来資産を増やしやすい理由なのです。
逆にいえば、配当金や株主優待が「いま欲しい」なら、個別株への投資にチャレンジするのも有りと思います。
将来資産を増やすことよりも、いまを楽しむことを優先するならば、自分の時間と労力をつかって個別株選びをしてもよいでしょう。
(いまを楽しむことを否定しているわけではありません。インデックスファンドより将来資産を増やせないにしても、個別株投資でも「損をしない」くらいの運用をすることは十分可能ですし、実は筆者も実践しています。)
さいごに
老後資金など将来のお金を確実に増やすなら、個別株への投資ではなく、投資信託(インデックスファンド)を選択するのが正解です。
これは私の肌感覚ですが、個別株への投資でインデックスファンドよりも「長期的に」増やせているアマチュア投資家は、おそらく全体の1割もいないと思います。
「なんのために投資をするのか」という目的を明確にして、自分にあった選択をしていくことが大切ですね。
投稿者プロフィール
- 「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。
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