以前の記事で、将来資産を増やすためには個別株より投資信託(インデックスファンド)のほうが優れている理由について解説しました。
「個別株と投資信託、どっちがいい?NISAでの最適な選択とは」
個別株投資では、銘柄選びが難しいうえに適切な管理も必要となるため、長期的に資産を増やすためには労力が必要となります。
一方、インデックスファンドは運用会社が市場の成長に合わせて投資先を入れ替えてくれるため、保有している人は「ほったらかし」でも資産を増やしやすいのです。
それでも、個別株投資には配当金や株主優待が得られたり、企業や経済に対する知識を増やせたりするメリットもあります。
そこで今回は、インデックスファンドと個別株の最適な投資割合について解説したいと思います。
投資信託と個別株の割合は「コアサテライト戦略」で考える
コアサテライト戦略とは、投資資産を「コア(中心)」と「サテライト(周辺)」に分けて管理する方法です。
比較的リスクが低くて管理しやすい資産を中心に置きつつ、ハイリスク・ハイリターンな資産にも投資することで、リスクとリターンのバランスを取りながら確実な成長を目指すことが、コアサテライト戦略の目的とされています。
コア資産としては、全世界株式などのインデックスファンドが該当します。そしてサテライト資産には、よりリスクが高い個別株やアクティブファンドなどが該当します。
投資資産の主体はインデックスファンドとしながら、余力で個別株にも投資するようなイメージを持っていただければと思います。
注)インデックスファンドの「リスクが低い」と言っているわけではありません。個別株投資と比べるとリスクが低いというだけであり、預貯金や債券と比べると全世界株式のほうがかなりハイリスクであることには注意してください。
コアとサテライトの最適な割合は?
コア資産の一般的な割合は、70~90%とされています。したがって、サテライト資産の割合は10~30%ということになります。
投資初心者が個別株にもチャレンジする場合は、インデックスファンドが9割、個別株が1割くらいから始めることを私はおすすめします。
慣れてきてから、大丈夫そうなら個別株の割合を2割、3割と上げていくことで、失敗しない投資が実現できると思います。
もう少し具体的にイメージしてみましょう。
たとえば、毎月5万円の積立投資ができる資金があるとします。この場合、年間では5万円 ✕ 12か月 = 60万円の投資予算となりますね。
個別株への投資割合を10%とするなら、60万円 ✕ 10% = 6万円が年間の投資予算です。
つまり、インデックスファンドを毎月4万5,000円ずつ積立投資しながら(4.5万円 ✕ 12か月 = 54万円)、残りの6万円を個別株の購入に回すことになります。
少額から個別株に投資する方法
「たった6万円で個別株投資ってできるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、今はネット証券を使えば、1社あたり数百円から数千円の「単元未満株」にも投資することができます。
単元未満株とは、株式市場で通常売買される単位(100株など)より少ない株数で購入できる株のことです。
たとえば、ネット証券大手のSBI証券や楽天証券では、単元未満株を「1株」から購入可能であり、資金が限られている人でも手軽に個別株投資を始めることができます。
個別株投資では、インデックスファンドのような「積立投資」はできないため、毎回自分で発注する必要があります。
最初は、「自分が興味がある会社の株式を1株だけ買ってみる」ところからスタートしてみてもよいでしょう。
一例として、1株あたり数百円~5,000円未満で購入できる銘柄を、業界・業種別にいくつか挙げてみます。
※括弧内の数字は2024年10月18日の株価終値。
【化粧品・美容業】
資生堂(3,412円)、ポーラ・オルビスホールディングス(1,502円)
【ファッション・小売業】
オンワードホールディングス(539円)、マツキヨココカラ&カンパニー(2,120円)
【食品・飲料業】
カルビー(3,385円)、伊藤ハム米久ホールディングス(3,840円)
【交通・サービス業】
東日本旅客鉄道(2,986円)、オリエンタルランド(3,547円)
【情報・通信業】
LINEヤフー(427円)、メルカリ(2,389円)
コア部分であるインデックス投資を計画的に実行しつつ、サテライト部分の個別株投資にもチャレンジしていただければと思います。
投稿者プロフィール
- 「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。
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