最近、元本割れの心配がほぼない金融商品である「個人向け国債」が注目されています。

着目されている理由は金利の上昇であり、2024年7月に発行予定の「変動10年」の金利は0.69%という高水準です。

今回は、個人向け国債のメリットやデメリット、どんな人に向いているのかについて解説します。

個人向け国債とは?

国債とは、国が発行する債券のことであり、債券とはお金を貸し借りするときの証明書のことです。

個人向け国債は、その名の通り個人が購入できる国債のこと。

つまり、国が個人からお金を借りるしくみが「個人向け国債」ということですね。

個人向け国債の利子と安全性

個人向け国債を購入すると、半年ごとに利子が支払われます

毎月発行されており、金利はその都度変わっていきます。

金利の下限は0.05%であり、それより低い金利になることはありません。

今年(2024年)の4月頃から、大手銀行の普通預金金利が年利0.001%から0.02%に上がると話題になっていましたが、それでもまだ、個人向け国債の最低金利のほうが高いことになります。

個人向け国債が満期を迎えると、投資したお金(元本)はそのまま戻ってくるので安心です。

ただし、100%元本が確保されるかというと、絶対ではありません。

個人向け国債の発行元は財務省であり、日本政府が元本を返すと約束している金融商品です。

もし、政府財政が破綻するようなことがあれば、元本割れするかもしれません。

そんな可能性は非常に低いと思いますが、、、

個人向け国債はどこで買える?

個人向け国債は、証券会社や銀行などで購入できます

最低購入金額は1万円であり、1万円単位で指定できます。

楽天証券やSBI証券などのネット証券でNISAをやっている人は、保有しているネット証券口座を利用することをオススメします。

ネット証券への預り金(証券口座に入金したお金)を使って、ウェブサイトから売買できるので便利です。

なお、「銀行で個人向け国債を購入したら、粗品をたくさんもらえた!」という方がいらっしゃいました。

それを聞いて、「なるほど、銀行を利用するのもメリットあるな!」と思いましたね。

銀行によっては、個人向け国債の管理口座の開設や維持に手数料を取られてしまうケースがありますが、手数料無料であれば銀行利用もOKです。

個人向け国債の中途換金について

いったん個人向け国債を購入したら、1年以内に換金することはできないので、注意が必要です。

購入してから1年経過した後は、いつでも1万円単位で中途換金ができます。

ただし、直前1年分(半年ごとなので2回分)の利子の、約80%が手数料として差し引かれます。

したがって、1年経ってすぐに中途換金したら、本来もらえる利子の8割相当が手数料として引かれ、残りは2割程度となってしまいます。

2年経ってから中途換金した場合は、最初の1年分の利子は満額もらえて、2年目の利子が8割減になります。

あまり早く換金すると、総利益が目減りすることになりますので、最低でも2年は保有するつもりで購入するのが良いと思います。

個人向け国債の種類とオススメ商品

個人向け国債には、「変動10年」、「固定5年」、「固定3年」の3種類があります。

変動10年は金利が半年ごとに変わっていき、10年で満期となります。

固定5年と固定3年は、購入したときの金利が期間中ずっと変わらず、5年あるいは3年で満期となります。

コロナ後の景気回復やウクライナ侵攻などの影響により、世界中で物価上昇が顕著となり、諸外国の政府は金利をあげる政策をとっています。

諸外国の動きからは遅れているものの、日本においても金利上昇に向かっており、2022年ごろから個人向け国債の金利も上昇してきています。

金利が上昇傾向にあるときは、固定型と比べて変動型のほうが高い金利になるため、現時点では「変動10年」がオススメです。

変動10年に着目すると、2021年以前は最低金利の0.05%であったのが、2022年から徐々にあがり始め、直近の2024年7月に発行予定の金利は0.69%(税引前)です。

100万円購入したら、半年後に2,750円(税引き後)の利子がもらえます。

店舗型の銀行よりも金利が高い「ネット銀行」に預けたとしても、普通預金金利は年利0.2%程度です。

「少しでも金利がよいところに預けておきたい」と考える人にとっては、個人向け国債はメリットがある選択肢となります。

ただし、「変動10年」は半年ごとに金利が変わるので、定期的な金利チェックはしたほうがよいでしょう。

「お金を仮置きする場所」と捉えて、もし数年後に金利が大きく下がったら、別の場所に置き替えるような柔軟性を持っておくことも大切です。

まとめ

2022年以降、個人向け国債の金利が上昇してきています。

2024年現在は、店舗型の銀行だけでなく、ネット銀行の預金金利と比べても高い金利水準となっています。

少しでも金利が高いところに預けたいと考えるなら、とても有効な金融商品だと思います。

また、ネット証券でNISAをやっている人は、同じ証券口座で個人向け国債を管理できるので便利です。

個人向け国債は元本割れの心配はほぼありませんが、中途換金すると手数料がかかるため利子が目減りします。

金利の状況を見極めつつ、ある程度計画的に利用することをオススメします。

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投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。

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