2024年12月12日現在の為替相場は、1ドル約152円となっており、相変わらず歴史的な円安が続いています。
円高のときに投資した人は「為替差益」によって資産が増える一方、最近になって投資を始めた人やこれから始めようとする人は、今後円高になった際に「為替差損」を被る可能性があります。
このような円安の時代に「お金を守りながら増やす」資産運用を実践するには、将来の円高の可能性を考慮して備えることが重要です。
今回は、為替の影響を抑える「為替ヘッジ」を利用した投資信託の有効性について解説します。
「もう円高にならない」っていう人もいるけれど、、、
「日本経済の力が弱くなっており、以前のような円高には戻らない」と言う人もいるのですが、本当にそうでしょうか?
次のチャートは、1994年1月~2024年1月までの30年間の米ドル/円の動きを示しています。
Investing.com USD/JYP-アメリカドル 日本円のデータを元に著者作成
チャートから、過去30年にわたり円安と円高を繰り返していることや、最近の数年間はかなり極端な円安状況にあることがわかります。
たしかに、日本経済の停滞とともに海外からの日本円に対する信用力が低下し、将来も長期的に円安傾向になる可能性はあると思います。
しかし、今後数年間くらいの時間スケールで考えたときには、行き過ぎた円安が逆戻りして、いまより円高になる可能性はかなりあると考えたほうがよいでしょう。
たとえば、現在の1ドル152円が3年前の2021年12月頃の1ドル114円まで戻っただけで、ドル建ての資産は25%も下落します。
もし、S&P500などの米国株価指数に連動した投資信託を100万分持っていれば、株価が変動しなくても、円高の影響だけで75万円にまで資産価値が下がってしまうということ。
外国通貨で運用している金融商品であれば、投資信託、個別株式、債券、外貨預金などいずれも、為替変動の影響を受けて値動きします。
円安、円高の影響を受けない「為替ヘッジ」とは?
そもそも為替(外国為替)とは、異なる国の通貨を交換するしくみのことであり、その交換比率のことを「為替レート」といいます。
そして、為替ヘッジとは「為替レートの変動による影響を抑える運用」のことです。
為替ヘッジを適用した投資信託では、為替ヘッジをしていない投資信託と比べて、円安や円高によるリスク(=値動き)が小さくなります。
具体例をみてみましょう。下のチャートは、外国債券型の投資信託について、為替ヘッジあり(青色線)と為替ヘッジなし(緑色線)を比較したものです。
両者の投資先は、いずれも米国やヨーロッパなどを中心とした海外の国債ですが、値動きは大きく異なることがわかりますね。
為替ヘッジあり(青色線)は緩やかに価格が上昇しているのに対し、為替ヘッジなし(緑色線)は上下に大きく変動しながら価格上昇しています。
また、為替ヘッジなし(緑色線)の変動は、米ドル/円(桃色線)のそれに似ていることもわかります。
つまり、為替ヘッジありの投資信託は「外国債券それ自体の値動きを概ね反映している」のに対し、為替ヘッジなしの投資信託は「債券の値動きに為替レートの変動をかけ合わせた値動きになっている」ということです。
「為替ヘッジあり」の投資信託はどんな人にオススメ?
為替ヘッジありの投資信託を保有するメリットは、「為替レートの変動による影響を受けにくいため、投資信託のリスク(=値動き)を小さくすることができる」ことです。
その一方で、為替ヘッジありの投資信託のデメリットとして、「ヘッジコスト」と呼ばれる手数料がかかるため、長期的には為替ヘッジなしと比べて運用成績が下がるおそれがあります。
以上を踏まえると、為替ヘッジありの投資信託は次のような人にとって有効な金融商品であると考えることができます。
・保有している金融資産全体に占める、リスク資産の割合が高い人(積立投資によって今後リスク資産の割合が増える予定の人も含む)
・比較的短期間(数年程度)でまとまった資金を積立投資する人
・安心して投資を継続するため、少しでもリスク(=値動き)を抑えたいと考える人
まとめ
為替レートの変動は資産運用に大きな影響を与える要因ですが、「為替ヘッジ」を利用することでそのリスクを軽減することができます。
ただし、ヘッジコストがかかる点や投資の目的に合った商品を選ぶ必要があるため、運用の方針に応じて慎重に検討することが大切です。
将来の円高や円安を予測するのは難しいですが、必要に応じて「為替ヘッジあり」の投資信託を活用し、安定した資産運用を目指しましょう。
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投稿者プロフィール
- 「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。
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