「老後のお金が足りるかどうか、不安です」
50代のご相談者から、こうした声を本当によく耳にします。興味深いのは、この不安が資産の多い・少ないに関わらず、多くの方が抱えているという点です。
なぜでしょうか。
不安の正体は「見えていないこと」
老後のお金に対する不安の正体は、「実際に足りるのかどうかが見えていないこと」にあります。
目的地がわからないまま「もっと増やさなきゃ」と走り続けるのは、ゴールのないマラソンを走るようなものです。
どれだけ投資の知識を身につけても、「そもそも自分はいくら必要なのか」がわからなければ、本当の安心にはつながりません。
逆にいえば、必要額の見当がつくだけで、心の負担はずいぶん軽くなります。
不足する見込みがあったとしても、金額がわかれば「働き方」や「運用のペース」など、具体的な手の打ち方が見えてきます。
老後収入の土台は「公的年金」
老後資金を考えるとき、まず押さえておきたいのが公的年金です。
少子高齢化のニュースで不安を感じている方も多いと思いますが、公的年金には他の金融商品にはない大きな強みがあります。
それは、一度受け取りが始まったら、生きている限りずっと支給され続けるという点です。
令和5年度のデータによると、夫が会社員・妻が専業主婦のご家庭なら、平均的には夫婦合わせて月約20万円(年間約240万円)の収入が一生涯続く計算になります。
この「終身収入」を民間の個人年金保険で作ろうとすれば、数千万円もの保険料が必要になります。
さらに公的年金は、「受給開始からおよそ10年で元が取れる」と言われるほど、私たちが納めた保険料に対して手厚い設計になっています。
必要額を割り出す5つのステップ
公的年金という土台を踏まえたうえで、「自分はいくら準備すべきか」を割り出す手順は、次の5つです。
- 年金受給見込額(額面)を確認する
- 手取り額(額面の約9割)を算出する
- 老後の毎年の支出を想定する
- 収入と支出の差額から、20年分の「不足資金」を計算する
- 退職金などの収入を引いて「自分で準備する目標額」を決める
具体例として、夫婦世帯における平均的なケースで考えてみましょう。
夫婦の年金手取りが月約18万円(年間約216万円)、支出が月約25.7万円(年間約308万円)とすると、毎年の不足分は約92万円です。
これを20年分積み上げると約1840万円。余裕を持って見積もれば、老後の不足資金の目安はおよそ2000万円となります。
ここから退職金などを差し引いた金額が、現役時代に「自分で準備すべき目標額」です。
たとえば退職金が1000万円の見込みなら、準備すべき目標額は残りの1000万円ということになります。
「20年分」を運用で長持ちさせる
「平均寿命より長生きしたら足りなくなるのでは」と感じた方もいるかもしれません。
ご安心ください。この「20年分の資産」を運用によってさらに長持ちさせる方法があります。
NISAなどで積み立ててきた資産を、老後も運用しながら少しずつ取り崩していく「出口戦略」がその答えです。
貯めるだけでなく、どう使うか。このお金の賢い取り崩し方こそが、老後資金づくりの仕上げといえます。
この「出口戦略」の具体的な方法を、一冊にまとめました。
NISAの積み立てをすでに始めている方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
投稿者プロフィール

- 老後資金づくりを支援するFP
-
1974年兵庫県生まれ。大阪府在住。
20年余りの会社員生活を経て、46歳で独立。
かつてはお金の知識ゼロから独学で投資を実践し、具体的な資産計画を描くことで、組織に縛られない自由な働き方を手に入れました。
現在は、保険・金融商品の販売を一切行わない、完全中立のFPとして活動しています。特定の商品をすすめる立場に立たないからこそ、ご家庭の状況と目標だけを起点に、老後資金づくりの計画策定から実行まで一貫してサポートできると考えています。
老後のお金に不安を感じている方が、「自分らしく、安心して暮らせる未来」を描けるよう、資産バランスの整え方や具体的な行動の道筋を、わかりやすくお伝えすることを活動の軸としています。
学びのプラットフォーム「ストアカ」では、資産運用講座の受講者が延べ700名を超え、最高ランクの「プラチナバッジ」を取得。書籍の執筆やブログを通じた情報発信にも取り組んでいます。
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