米国株を中心に、世界の株式市場が乱高下しています。
ニュースでは「景気後退懸念」や「トランプ前大統領の関税政策」などが話題になっていますが、積立投資をしている人にとって、こうした短期的なニュースに過度に反応する必要はありません。
前回の記事では、積立投資の継続が重要であることについて書きました。
前回記事:「株式市場が暴落…どうしよう?」それでも積立をやめない理由
今回は、今のような下落局面に不安を感じている方に向けて、いま必要な心構えや対策をより詳細にお伝えします。
下落はいつでも起こりうるもの
私からすると、今回の下落は「やっぱり来たな」という印象です。
というのも、ここ数年の株価上昇がやや急すぎたからです。特にコロナショック以降、米国を中心に株式市場は力強く回復し、短期間で大きく値上がりしました。
下のグラフでは、米国株(S&P500)と日本株(TOPIX)の過去5年の推移を示しています。

青線がS&P500、黄色線がTOPIX。どちらも右肩上がりで成長していますが、その角度はかなり急です。
参考までに、年率5%・10%・15%で成長した場合のシミュレーション曲線も破線で加えてみると、ここ数年の実際の株価推移は、年率15%の曲線に近いペースで上昇していたことがわかります。
一般的に、株式の長期的な成長率は年5~7%程度が妥当だとされており、それと比べてもこの伸びは過熱気味だったと考えられます。
だからこそ、今回のような調整局面はむしろ自然な現象とも言えるのです。
下落は予測できないが、想定しておくことはできる
とはいえ、「じゃあ、あとどのくらい下がるの?いつ戻るの?」と不安になるのも自然なことです。
株式市場の下落には、明確な期間やパターンがあるわけではなく、回復までの道のりもケースによって大きく異なります。
たとえばコロナショック(2020年)のときは、株価はおよそ1か月で底を打ち、わずか数か月で回復に向かいました。
一方で、リーマンショック(2008年)のときは、ピークから底を打つまで約1年半かかっています。この間、株価は断続的に下がり続けました。
つまり、「下落は短期で終わる」と決めつけてしまうのは危険です。
私は、今回の下落も2~3年ほど続く可能性も想定しながら投資を続けています。
でも、これは悲観しているわけではなく、それくらいの心構えを持っておけば、むしろ落ち着いて対応できると思っているからです。
積立投資では「下落=チャンス」という視点が大切
積立投資をしている人にとって、価格が下がることは「より多くの口数を買えるチャンス」でもあります。
積立期間の前半に価格が下がることで、購入できる口数が増え、将来の資産がより大きくなる可能性が高まります。
長期的には、安くたくさん買えた人ほど資産を大きく増やしやすくなるのです。
この視点を持っておくことで、「株価が下がる=損」と決めつけずに、冷静に投資を続けやすくなります。
分散投資で安心感をプラス
とはいえ、不安を感じやすい方もいらっしゃると思います。
その場合は、あらかじめ債券やゴールド、不動産(REIT)など、株式とは異なる値動きをする資産を組み合わせておくことがおすすめです。
こうした「資産の分散」は、実際の値動き(リスク)を和らげるだけでなく、心理的にも安定した気持ちで運用を続けるために有効です。
まとめ
株価が下がるのは、決して異常なことではありません。
過去を振り返っても、株式市場は下落と回復を繰り返しながら、長期的には成長してきました。
大切なのは、ニュースや相場に振り回されすぎず、自分の投資方針を見失わないこと。
不安なときこそ、自分のペースでOK。これからも一緒に、少しずつ前に進んでいきましょう。
投稿者プロフィール

- 老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
- 「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。
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