2024年6月10日時点の円相場は1ドル157円となっており、歴史的な円安が続いています。

一方で、「いまは円安とよく聞くけど、そもそも円安と円高の違いがよくわかってない」という人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、円安・円高の意味や判断基準について、わかりやすく解説します。

NISAやiDeCoを利用して世界株などに投資している人が増えている昨今、外国為替についての知識を持っておくことはより重要となっています。

この機会に、なぜいまが円安といわれているのかを正しく理解しておきしょう。

円安、円高はどう判断する?外国為替の基礎理解

まずは質問です。

1ドル100円から、1ドル150円に変化したとき、「円安」と「円高」のどちらになったでしょうか?

答えは、「円安になった」です。

数字だけ見ると、「100円より150円のほうが高いので円高かな?」と勘違いしてしまいがちです。

間違えないようにするポイントは、「円安」ではなく「円安=ドル高」とセットで考えること。

ドルが高くなったから、円が安くなっている

外国為替レートとは異なる通貨を交換するときの比率なので、一方の通貨が安くなれば、一方の通貨は高くなります。

つまり、「円安ドル安」という言葉は存在しません。

円が安ければドルが高くなるし、円が高ければドルは安くなる、ということですね。

1ドル100円から1ドル150円への変化に話を戻すと、「1ドルの価値がある商品やサービスが、以前は100円で買えたのに、いまは150円出さないと買えない(=ドルが高くなった)」と考えてみてください。

「円が安くなったな~(だからドル高)」ではなく、「ドルが高くなったな~(だから円安)」と考えたほうが、感覚的にもわかりやすいですよね?

これの逆も同様です。

いまは1ドル150円なのが、数年後に1ドル100円になったら、ドルがすごく安くなった(だから円がすごく高くなった)のように考えましょう。

円安・円高は「変化」をあらわす言葉

ここまでのお話しで、ひとつ重要なことがあります。

それは、円安・円高は、為替レートの「変化」をあらわしている、ということです。

たとえば、「1ドル120円」というだけでは、円安・円高の判断はできません。

1ドル100円から120円に変化したら「ドル高(円安)」だし、1ドル150円から120円に変化したら「ドル安(円高)」である、ということですね。

これは円安・円高の判断をするうえで基礎となる考え方なので、覚えておいてください。

外国為替レートのいまを知る

円安・円高の判断基準について、理解できたでしょうか?

ここからは、実際の為替レートの動きをみながら、いまが円安なのか円高なのかを考えてみましょう。

米ドル/円の値動き

以下のチャートは、過去5年間の米ドル/円相場の値動きを示しています。

参照元:Google Finance

チャートの縦軸は、1ドルあたりの円価格です。

2020年から2021年頃をみると、1ドル110円前後で値動きしているのがわかります。

ところが、2022年に入ってから急激にドルが高くなり(円が安くなり)、2022年の後半には1ドル150円付近までドル高(円安)が進みました。

2023年の初めごろはいったん1ドル130円付近までドル安(円高)に戻ったものの、それ以降はふたたびドル高(円安)が進行し、現在にいたっています。

過去5年間でもっとも円高だった2021年初の1ドル103円を基準にすると、たった3年半で1ドル157円へと、50円以上も円安進行していることになりますね。

これを割合にすると、1ドル103円から157円は約52%の変化率です。

たとえば、2021年初に100万円分の米ドル建て資産を購入していたら、米ドルでの資産価値がまったく変化しなかったとしても、2024年6月現在に日本円に換算すると約152万円の価値になっている、ということになります。

ユーロ/円の値動き

「米ドル/円では円安になっていることはわかってけど、他の通貨に対してはどうなの?」と思った人もいるかもしれません。

次に、過去5年間のユーロ/円相場の値動きを見てみましょう。

参照元:Google Finance

チャートの縦軸は、1ユーロあたりの円価格です。

こちらもまた、着実にユーロが高くなっている(円が安くなっている)ことがわかりますね。

過去5年でもっともユーロ安(円高)だった2020年5月の1ユーロ116円のときと比べると、2024年6月現在の1ユーロ169円は、約46%の円安進行となっています。

米ドル/ユーロの値動き

外国為替の考え方をより定着させていただくために、過去5年間の米ドル/ユーロ相場の値動きも示します。

参照元:Google Finance

この場合、チャートの縦軸は1ドルあたりのユーロ価格となります。

コロナ流行した2020年から2021年にかけて、1ドル0.82ユーロ付近までドル安(ユーロ高)が進みました。

その後、2022年の10月頃にかけて1ドル1.03ユーロ付近まで、ドル高(ユーロ安)となっています。

2023年以降は、1ドル0.90から0.95ユーロあたりで推移しています。

このようにアップダウンはあるものの、5年前と比べると大きな変化はしていないことがわかりますね。

まとめ

円安・円高を理解するためには、どの通貨と比べているかを意識することが近道です。

たとえば、1ドル100円から1ドル150円に変化した場合は、以前と比べて1ドルが1.5倍も高くなった(だから円は安くなった)と考えるのです。

その逆も同じで、1ドル150円から1ドル100円に変化すれば、以前と比べで1ドルが安くなった(だから円が高くなった)となります。

この考え方を身につければ、どんな通貨に対しても、円安・円高の判断ができるようになります。

現在は米ドルだけでなく、ユーロなど世界のさまざまな通貨と比べても、円が安くなっている状態です。

円安の影響として、身近なところでは輸入品の値上がりによって物価が高くなっていますし、外国資産に投資している人にとっては含み益の増大につながっています。

まずは円安・円高の基礎を理解したうえで、自分にどのような影響があるのかを考えていただければと思います。

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投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。

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