「外貨建て保険に入ってしまったけれど、このまま続けていいのか不安です」

そんなご相談をよくいただきます。

外貨建て保険は、銀行や保険会社などから勧誘を受けて契約される方が多い商品です。

しかし実は、注意が必要な仕組みをいくつも抱えています。

金融庁も、外貨建て保険の販売における「乗り換え販売」や「高額な手数料」などの問題を指摘しています。

私自身も、外貨建て保険という仕組みそのものが、一般の方にはあまりメリットがないと考えています。

今回は、その理由をできるだけわかりやすく解説します。

外貨建て保険とは?

外貨建て保険は、「万が一の保障」と「外国のお金での貯蓄・運用」という2つの性格を持つ保険商品です。

たとえばドル建て保険の場合、あなたが払う保険料は日本円ではなく「米ドル」に換えて運用されます。

もし万が一のことがあれば保険金が支払われ、一定期間が経てば貯蓄部分を受け取ることもできます。

一見すると「保障もあり、資産運用もできる」便利な商品に思えますが、ここに大きな落とし穴があります。

それは、「為替の変動」によって受け取るお金が増えることもあれば、逆に大きく減ることもあるという点です。

つまり、ドルやユーロが安くなる(円高になる)と、せっかく積み立てたお金が目減りしてしまうのです。

外貨建て保険に入ってはいけない最大の理由

外貨建て保険のいちばんの問題点は、手数料が非常に高いということです。

営業の場面では、
「保障と運用が同時にできます」
「円建て保険よりも利回りが良いですよ」

といった説明をされることが多いのですが、実際にはリターンの多くが手数料に消えてしまうケースも少なくありません。

外貨建て保険でかかる主な手数料は3つあります。

  1. 保険維持費用(契約を続けるための費用)
  2. 為替手数料(円と外貨を交換するたびにかかる費用)
  3. 運用・解約コスト(資産運用や途中解約の際にかかる費用)

とくに2. と3. が問題です。

外貨建て保険では、契約時・受取時の両方で為替手数料が発生します。

さらに、運用にかかるコストや「解約控除」と呼ばれるペナルティもあります。

たとえ1〜2%ほどの手数料でも、長期にわたると総額はかなりの金額にのぼります。

その結果、本来得られるはずの利益の多くが金融機関に流れてしまうのです。

資産形成は「自分で選ぶ」ほうが有利

「自分で運用商品を選ぶのは難しい」と感じる方も多いと思います。

その気持ちはとてもよくわかります。

ただ、その「おまかせでいいかな」という気持ちが、知らないうちに数百万円単位の手数料を支払うことにつながることもあります。

資産形成を始めるなら、まずは自分でコントロールできる仕組みを持つことが大切です。

たとえば、「NISAで手数料の安いインデックスファンドを積み立てる」という方法があります。

インデックスファンドは、日本円で買っていても、実質的には外貨分散(外国のお金にも分けて投資すること)ができています。

たとえば「全世界株式ファンド」を保有している場合、
そのおよそ6割は米ドル建ての株式に投資されています。

つまり、円安になればその分、あなたの資産価値が増える仕組みになっているのです。

さらに最近のインデックスファンドは、手数料(信託報酬)が0.1〜0.2%程度と非常に低く、外貨建て保険の数十分の一ほどです。

同じ「外貨に投資する」なら、こちらのほうがはるかに効率的といえるでしょう。

分散投資の基本を知っておこう

外貨建て保険の多くは、海外の国債など債券中心で運用されています。

中には株式に投資しているタイプもありますが、内容がわかりにくいケースも少なくありません。

そもそも、資産運用では「株式」と「債券」をどう組み合わせるかがとても大切です。

長期的なリターンを重視するなら株式を中心に、
安定性を重視するなら債券も組み合わせる、という考え方です。

しかし、外貨建て保険ではこのバランスが見えづらく、
どんなリスクを取っているのか自分で把握しにくいという難点があります。

一方で、インデックスファンドであれば、
「どの国」「どんな資産」に投資しているのかが明確で、手数料も非常に安い。

透明性とコストの両面で、外貨建て保険よりも圧倒的に有利といえます。

すでに契約している場合は?

すでに外貨建て保険に加入している場合、
まずは慌てて解約しないことが大切です。

契約期間が短い場合、解約控除などで大きく元本割れすることもあります。

まずは「解約したらいくら戻るのか」を確認しましょう。

そのうえで、

  • 保障部分が必要なら、掛け捨て保険でカバー
  • 運用部分は、NISAやiDeCoを活用してインデックスファンドへ切り替え

といった形で整理していくのがおすすめです。

資産形成の目的を明確にし、自分で理解できる仕組みに乗り換えること。

それが、これからの時代にいちばん安心できる方法だと考えています。


まとめ

外貨建て保険は、一見「お得そう」に見える商品ですが、
その裏には高額な手数料や複雑な仕組みが隠れています。

「知らないうちに損をしていた」という状況を避けるためにも、
まずは自分で理解できる範囲で資産形成を始めてみましょう。

NISAを使ったインデックス投資なら、少額から・手数料も安く・シンプルに始められます。

そして何より、自分で選び、納得して運用することが、安心してお金を育てるいちばんの近道です。

投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後資金づくりを支援するFP
1974年兵庫県生まれ。大阪府在住。
20年余りの会社員生活を経て、46歳で独立。

かつてはお金の知識ゼロから独学で投資を実践し、具体的な資産計画を描くことで、組織に縛られない自由な働き方を手に入れました。

現在は、保険・金融商品の販売を一切行わない、完全中立のFPとして活動しています。特定の商品をすすめる立場に立たないからこそ、ご家庭の状況と目標だけを起点に、老後資金づくりの計画策定から実行まで一貫してサポートできると考えています。

老後のお金に不安を感じている方が、「自分らしく、安心して暮らせる未来」を描けるよう、資産バランスの整え方や具体的な行動の道筋を、わかりやすくお伝えすることを活動の軸としています。

学びのプラットフォーム「ストアカ」では、資産運用講座の受講者が延べ700名を超え、最高ランクの「プラチナバッジ」を取得。書籍の執筆やブログを通じた情報発信にも取り組んでいます。

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