先日、こんなご相談をいただきました。

「経済評論家の◯◯さんがNISAはやらないほうがいいと言っていたのですが、どう捉えればよいのでしょうか?」

SNSやメディアなどでよく目にするこの手の発言。一見もっともらしく見えるものもあり、戸惑う方も多いかもしれません。

今回は、こうした発言の背景とその見方について、私なりにお伝えしてみたいと思います。

ネガティブな情報は広まりやすい

まず、どんな情報にも言えることですが、「ネガティブな発言」には注意が必要です。

人間にはもともと、生存本能として危険な情報に敏感になる傾向があります。

そのため、「NISAは危ない」「やめたほうがいい」というような警告的な言葉には、どうしても強く反応してしまうのです。

また、情報を発信する側からすると、こうしたネガティブな話題は視聴率やアクセス数を稼ぎやすいという利点もあります。

そこに、発信者の意図や思惑が加わっている場合もあることを、私たちは忘れずにいたいですね。

内容に一理はあっても、視野は狭いことも多い

次に考えたいのが、そうした発信の「中身」についてです。

たしかに、NISAや投資そのものに対して懐疑的な意見には、一理あるものもあります。たとえば、こんな主張を目にします。

  • 「NISAは長期間保有する必要があるので、すぐに増やしたい人には向かない」
  • 「暴落時にパニックになって売ってしまい、損をする可能性がある」
  • 「過去の成績が今後も続くとは限らない」

こうした意見には、確かに共感できる部分もあります。ただ、それだけを見て「やらないほうがいい」と結論づけてしまうのは早計です。

たとえば、長期保有に向かないと言われる点についても、投資はそもそも「短期で増やす」ことに向いていないという現実を考えると、むしろ長期的な視点でコツコツ積み立てていくほうが、無理なく成果が出やすいというのが本質です。

また、暴落に対する不安は多くの方に共通するものですが、それは「知識がないまま始めてしまうこと」が問題であって、正しい知識と心構えを持っていれば、決して乗り越えられないものではありません。

さらに、「過去の成績は将来を保証しない」というのは確かにその通りですが、それを言い出せば、将来がどうなるか分からないのは投資に限った話ではありませんよね。

むしろ、株式市場が長期的に成長してきたのは、過去200年以上にわたって人類が経済活動を発展させてきた歴史の証とも言えるものです。

経済成長は人間の営みとともにある

将来のことを誰にも予測できないからこそ、私たちが信じられるのは、「今ある課題を解決しよう」「よりよい社会を作ろう」とする人間の営みではないでしょうか。

テクノロジーが進化し、新しい価値が生まれ、社会が少しずつ良くなっていく。そうした営みの積み重ねが、経済の成長につながっていくはずです。

その恩恵を少しずつ取り込む手段として、インデックス投資はとても理にかなった方法だと私は思っています。

大切なのは「自分に合ったバランス」

ここで誤解してほしくないのは、「投資をしないこと=間違い」ではないということです。

投資にはリスクがありますし、向き不向きもあります。

だからこそ、貯金だけに頼るのもリスク、全額を投資に振り切るのもリスク。どちらかに偏るのではなく、自分に合った適切なバランスをとることが大切です。

そのバランスを見極めるためには、客観的な視点が役立ちます。もし迷ったらいつでもご相談ください。

一緒に、安心して続けられる投資との向き合い方を見つけていきましょう。

投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。

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