「つみたてNISAに興味があるけれど、どこで始めたらよいかわからない」
という悩みをお持ちの方はとても多いです。

そこで今回は、投資初心者がつみたてNISAを始めるのに適した金融機関の選びかたをお伝えします。

先に結論をお伝えすると、SBI証券や楽天証券などのネット証券会社を選択することをおすすめします。

なぜなら、「手数料が安い」など個人の資産運用に適した商品が多いうえに、自宅からインターネット上ですべての手続きが完結できて便利だからです。

とはいえ、「窓口がないネット証券は不安」という方がいらっしゃるのも事実。

そこで、銀行などの窓口がある「対面型」金融機関を利用する際の注意事項についても解説します。

つみたてNISAの「最初の入り口」を間違えないための知識が身につきますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

NISA制度の概要について

NISAとは「少額投資非課税制度」の略称であり、投資で得られた利益にかかる税金が免除される制度です。

現行制度では、「つみたてNISA」、「一般NISA」、「ジュニアNISA」の3種類があります。
つみたてNISAと一般NISAは、どちらか一方を選択して成人一人につき一口座のみ開設できます。

一方、ジュニアNISAは17歳以下の子供が開設でき、運用・管理は親などの親権者が代行します。

なお、現行制度は2023年末で終了し、2024年1月からは新NISA制度がスタートすることが決まっています。

新NISA制度では、現行のつみたてNISAと一般NISAが併用可能となり、さらに投資可能額や非課税期間などの条件が大きく緩和されます。

ジュニアNISAは新設されず、2023年で終了となります(2023年までにスタートした人は、成人まで非課税運用が可能)。

2023年に現行制度でつみたてNISAか一般NISAを開始した場合、2024年からは同じ金融機関で自動的に新NISA口座が開設されます。

したがって、制度の変更を待たずに2023年から開始しても問題はありません。

つみたてNISA口座を開設できる金融機関の分類

つみたてNISAを始めるために最初にやる必要があるのが、金融機関の選択です。

NISA口座を開設できる金融機関は大きく次の3つに分類されます。

NISA口座を開設できる金融機関

・ネット証券会社

・店舗型証券会社

・銀行、信用金庫、農協

ネット証券会社は、パソコンやスマートフォンを利用してインターネット経由で口座開設や各種設定を行います。

一方、店舗型証券会社や銀行等では、店舗の窓口で口座開設等が可能です。

NISAを始めるにあたり、ネット証券会社、窓口がある対面型金融機関のどちらを利用するのがよいでしょうか?

その判断材料とするために、ネット証券会社と対面型金融機関について、それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。

ネット証券会社のメリット・デメリット

ネット証券会社の有名どころとしては、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などがあります。

それぞれの会社に特徴はありますが、NISA制度の利用に関するメリット・デメリットは各社に共通しています。

ネット証券会社のメリット

ネット証券会社を利用する最大のメリットは、手数料が安いなど、長期の資産形成に向いている商品が豊富にそろっていることです。

資産運用は長く続けるものであるため、運用にかかる手数料の違いは気にしておく必要があります。

投資初心者の方は「手数料が高いほうが、商品やサービスの品質も良いのでは?」という印象を持たれるかもしれません。

ところが、つみたてNISAの対象商品である投資信託では「手数料の高さは投資家の利益の減少につながりやすい」という傾向があるのです。

したがって、手数料が安い商品のなかから、自分に合ったものを選んで運用することがとても重要になります。

また、ネット証券会社では口座開設から各種設定までをすべてインターネット上で完結できることもメリットです。

店舗に行かなくても、自分の好きな時間に自宅で手続きができるのはとても便利ですね。

ネット証券会社のデメリット

ネット証券会社のデメリットは、対面での相談ができないことです。

口座の開設から各種設定まで自分でやる必要があるため、インターネットの利用に不慣れな人にとってはハードルが上がります。

ただし、まったく相談できないわけではなく、各ネット証券会社とも電話窓口、メールやチャットでのサポートサービスは準備されています。

なお、「ネット証券会社に資産を預けること」自体に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

これに関しては、とくに心配する必要はありません。

なぜなら、投資信託の資産は証券会社や銀行などの「販売窓口」ではなく、投資信託ごとに定められている「受託会社(=信託銀行)」で管理・保護されるからです。

つみたてNISAにおすすめのネット証券会社は?

ついでに、ネット証券会社のおすすめについても記載しておきます。

つみたてNISAを始めるなら、大手2社のSBI証券か楽天証券を選んでおくのが無難です。

たくさんのユーザーがいるので情報も得られやすいですし、大手という安心感もあります。

私のクライアント様も、9割以上はSBI証券か楽天証券を利用されています。

(私個人は、SBI証券、楽天証券のいずれも利用して取り引きをしています。)

SBI証券と楽天証券のどちらがよいかについては、目立った優劣はありません。

楽天市場、楽天カード、楽天ポイントなど楽天系のサービスを利用している人は、楽天証券をおすすめします。

「将来、つみたてNISA以外にも挑戦してみたい」という方は、サービスの総合力で強いSBI証券がよいでしょう。

対面型金融機関のメリット・デメリット

対面型金融機関には、店舗型証券会社、銀行、信用金庫、農協等があります。

店舗型証券会社の大手は野村證券、大和証券など。
銀行については、メガバンクから地銀までたくさんありますね。

ここでも、各金融機関に共通のNISAを利用するうえでのメリット・デメリットを解説します。

対面型金融機関のメリット

対面型金融機関のメリットは、窓口で対応してもらえることです。
対面でのサポートやアドバイスが得られるのは安心感がありますよね。

ただし、対面型金融機関で「投資対象」に対するアドバイスを得る場合は注意が必要です。これは後述します。

また、銀行など普段利用している金融機関でNISAを開始すれば、管理対象の金融機関を増やさずに済むため、口座管理がしやすいというメリットもあります。

対面型金融機関のデメリット

対面型金融機関でNISAを利用するデメリットは、ネット証券会社とは異なり手数料が安い商品が少ないことです。

これは、つみたてNISAの取り扱い商品数を見れば明らかです。

代表的なネット証券会社、銀行、店舗型証券会社における、つみたてNISAの取り扱い商品数は下表のとおりです。

つみたてNISAの取り扱い商品数(参照元:つみたてNISAナビ

ネット証券会社の豊富さに比べて、ほとんどの銀行や店舗型証券会社では取り扱い商品数がかなり少ないことがわかりますね。

商品数が多いほど絶対によい、というわけではありませんが、あまりに少ないと自分に合った商品に出逢える可能性が減ってしまうのは問題です。

つみたてNISAの対象商品は、手数料の安さなど金融機関が定めた基準をクリアした投資信託等のみが対象となっています。

いわゆる「金融庁のお墨付き商品」ということになります。

その取り扱いが少ないというのは、対面型金融機関がつみたてNISAに積極的ではないことの現れです。

さらに、一般NISAを利用するときに大きなデメリットがあります。

ネット証券会社では、つみたてNISA対象商品を一般NISAでも取り扱っているのに対し、対面型金融機関では選択できない場合が多いのです。

対面型金融機関の一般NISA取り扱い商品は、手数料が高い投資信託が中心となっています。

これについては正直なところ、顧客の利益よりも商品を売る側の利益を優先していると言わざるを得ません。

人件費がかかる対面型金融機関では、仕方がないことなのかもしれませんが。

対面型金融機関でNISAをやる場合に失敗しないポイント

「それでもやっぱり、普段利用している銀行でNISAを始めたい」という方のために、失敗しないためのポイントをお伝えしたいと思います。

もっとも大事なのは、一般NISAではなくつみたてNISAを選択することです。

銀行では取り扱い商品数が少ないとはいえ、つみたてNISAの対象商品は一定の基準をクリアしたものだからです。

それから、「投資対象についてアドバイスを求めない」ことも重要です。

これは前項でお話ししたように、顧客の利益ではなく、売る側の都合を優先した提案をされてしまう可能性があるためです。

もちろん、ちゃんと顧客のためを考えて提案してくれるアドバイザーもいるでしょう。
しかし、「担当者が変わってしまった」というのもよく聞く話です。

投資対象については、自分できちんと調べて判断するか、もしくは金融機関に属さない中立的なアドバイザーに相談しましょう。

まとめ

つみたてNISA口座を開設できる金融機関は、ネット証券会社と、銀行など窓口のある対面型金融機関に大別されます。

それらのなかで、手数料が安い商品(投資信託)が豊富な、SBI証券や楽天証券などのネット証券会社を選択することをおすすめします。

投資信託の手数料の高さは投資家の利益を減少させる要因であり、将来資産を増やすための長期的な資産運用では、手数料が安いものを選ぶことはより重要となるからです。

それでも、「やっぱり窓口のある銀行等で資産運用を始めたい」ということであれば、つみたてNISAに限定して利用するようにしましょう。

対面型金融機関では、一般NISAの対象商品として手数料が高い投資信託が中心となっているからです。

投資対象をなんとなく選んだり、金融機関の担当者の言いなりで選んだりすることは、投資の失敗へ直結する恐れがあるので注意していただければと思います。

投稿者プロフィール

前野なおひと
前野なおひと老後の安心を育てる🌱資産形成・お金のパートナー
「人に教える仕事がしたい」という想いから会社を辞めて独立し、以前から取り組んでいた投資の知識を活かして資産運用講座をスタート。ところが、受講者の多くが抱えている老後資金への不安を解消するには、資産運用の知識だけでは不十分であり、家計や保険、年金など幅広い「お金の知識」が必要なことに気づく。そこで、お金の専門家であるFP資格を取得し、一人ひとりの状況に応じたサポートを開始。FPとしての専門知識を深めることで「寄り添ってもらえる」「安心して相談できる」と評価されるようになり、成長を遂げる。現在は、主に老後資金への不安を抱える女性に対して、完全に独立したFPとして中立な立場でのFPコンサルタントを通して、適切な家計管理や資産形成をサポート、自由で豊かな老後を実現していただくための基盤づくりに貢献している。また、学びのマーケット「ストアカ」の講師として650名以上に対し資産運用などを教える講座を開催し、最高ランクのバッジである「プラチナ」を取得。現在も引き続き講師活動を展開している。

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